読みたい、と思う人は、どうか、お気楽に。
●連続小説「妄想バイオアトラクション」第1話●
バイオ4がプレイしたくて買ったWii。そして初めての3D酔い。映画館で3D映画見ても全然酔わないのに!何故!?
生活に全く困らない苦悩。
「バイオ4がプレイしたいんだよっ!」
そんなどうしようもない憤りを感じつつ、気がついたら、頭の中に、バイオのアトラクションが生まれていた。
入口は、うっそうと茂った木々で覆われている。雰囲気は、どことなく枯れている。
いや、枯れ切っているのすら超えていて、まるでこの世じゃない雰囲気だ。
中へ入ると、吊り橋が。どこからか、犬の泣き声も聞こえる。スタート地点には「この先、村中央」の看板・・・。
どこかで見たような!?そう思うと、声が聞こえてくるのだ。
「アガレロ!」「オイコラステロ!」「アリエスタ!」
どっかで聞いたことあるなぁ。
そんなことを思いつつ、とある木造チックな家の中へ入る。
すると何やら聞いたことある機械の音。そう、あれはチェーンソーの音だ!
リアル等身大チェン男さんが、いかにも機械的な、いかにもアトラクションな動きで迫ってくる。
とりあえず2階へ上がる。途中で、ショットガンと手榴弾を見かける。
「そういえばあったよね。」
なんともリアルな仕掛けのあるアトラクションだ。その間にもウィンウィンとしたチェンソーの音が、このアトラクションの館内に轟く。
「こだわってるなぁ。チェンさんに。」
そんなことを言いつつ、とりあえず窓から出て(出れたのだ。だまし絵みたいな構造の家である。)次のイベントルームへ向かう私たち。
カーン・・・コーン・・・カーン・・・。
鐘の音だ。「これもどっかで聞いたことあるし!」・・・そう。村人たちは、村長の家へ向かうのだった。
この辺は、等身大にまで再現させていたチェンさんとは裏腹に、影絵のような演出で表現されていた。そう。ただのコストカットである・・・。
この一連のイベントは、「アガレロ!」から始まり、鐘の音で終わる。それが、このアトラクションの稼働中、延々と続いているのだった。
気がつくとあたりは真っ暗に。粋な演出。ジリジリと、何か、導火線に火がついたかのような音がする。
「これって・・・」「農場の・・・・」
そう。伊藤さんだ。ダイナ=マ=イトウ。言わずと知れた、日系3世。
ボーーーン!ダイナマイトが炸裂する。真っ暗だったあたりが、一気に明るくなる。
「そこまで演出しなくてもいいし・・・!」
とか言いながらも、もうすっかりこのアトラクションに激ハマりな私たちであった。
ボーーーン!ボーーーン!
ダイナマイトが響く音。先ほどの「アガレロ!」とかいうよく分からない叫び声があったことなどは、すっかり吹き飛んでしまっていた。
しかし、よく耳を澄ますと、「コココココ・・・・」なにやら動物じみた鳴き声がする。
「あ。これって!」
コケーーーー!コッコ・・・・
「に・わ・と・り・じゃん!?」私たちは、思わず顔を見合わせた。
「たまご!たまご!どっかにあるよ、探してみよ!」勝手に ”たまごありき” なムードになる私たち。
そう。私たちは、「バイオ4」をこよなく愛する者たちである!(紹介が遅いぞ!)
とある日。職場で、私はふとため息をついていた。
「どうったの?ため息なんかついちゃって。」
いつも嫌な顔一つせず、私の愚痴を聞いてくれるMちゃんである。
「Wii買ったじゃん・・・」
だからどうしたんだ!?と、不思議そうに私の顔を覗き込むMちゃん。
「買ったじゃーーーん・・・・」
そこから先になかなか話が進まなかった。しかし勘のいいMちゃんは、すかさず
「酔っちゃった、とか?」
すごい!Mちゃんはとても勘の鋭い子である!
「私は何のためにWiiを買ったのかと・・・」
すぐに察してくれたMちゃんは、すかさず私をこのアトラクションに誘ってくれたのだった。
「動画を見たのなら、だいたいの世界観は分かってるんだよね?」
うん。とってもよく。エンディングもね。・・・まだ全然、私自身は先に進んではいないけれど。
そんな日のことを思い出しながら、気がつくとトンネルの中を歩いていた。
ところどころ、上の方にピカピカ光っているものが見える。手が届かないのがもどかしい。
「スピネル(お宝)か!?」
「しかし、これってバイオ4だけのアトラクションなのかなぁ?いきなりリッカーとか、やめてほしいんだけど!」
「カラスいないよね、カラスどーした?おーい。からすぅー」
どことなく、こんな私語も響き渡る。まだまだ余裕である。
ただのトンネルだが、声の響き方から察するに、なかなか資材と設計にこだわりがあるアトラクションのようだ。
「スピネルあるってことは、武器商人もいるんだよね。きっと・・・」
そんなことを話しながらも、にわとりの卵が落ちていないかどうかがいつまでも気になりつつ、足元を注視しながら進んでいった。
「レオンは、こんなところを、いつも一人で歩いて・・・周りは敵しかいなくて・・・」Mちゃんが気分を盛り上げる。
「わたしがいるよー!ここにいますよー!」
「何言ってんの、あんた・・・」
トンネルの中で、ふと我に返ると同時に、どうしようもない究極の孤独感を感じたのか、無理をして明るい口調で出たセリフが、誰に対して、と言うわけでもなく自然に、ひとり言のように、無意識に出ていた。
「わたしがいるから!」・・・意味不明である。
訳の分からない場所で、ひとり。
友人もいない。家族もいない。先生もいない。教授も、上司も、同僚も、先輩も、後輩も。
誰もいない!自分しか頼れない!周りは敵しかいない!しかも人間じゃない!
そして、寄ってたかって、こっちに向かって来やがる!
私たちは、もうすっかりこの世界の中へ入り込んでしまった。
<第2話へつづく・・・のか!?>
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