2009/12/12

ピアノを弾くという生活

4歳から始めたピアノ。17歳まで習い続けて途中中断、数年前から再び習い始めました。いわゆる「大人再開組」です。

山登りをDoor TO Door的考えで考えると、ピアノにも似ている面が多々あります。山登りとは、まず登山口まで行かねばなりません。紆余曲折を経て、また家に戻らなければなりません。

家に戻れなければそれは”遭難”です。

それほどまでにはならないにしても、長い長いピアノを弾くという生活を体験してみると、遭難していた時代がいかに長かったか、思いだすだけで感慨深いものがあります。


今はなんとか遭難せずに、コンパスと地図をもって天気図を確認しながら、目標に向かってピアノを弾くことを楽しんでいます。

プロを目指す人のような難曲を弾きこなそうとか、そういう高すぎる目標は全然ないのですが、単純に「弾きたいと思ったものを自分の手で弾きたい」という思いが異様に強く、そのためやめられないピアノ中毒患者のようになっています。

現在は特に、ショパンの「エチュード集」より、のだめも弾いてた有名な「10-4」あとは通称で「3度」「蝶々」「革命」を同時進行でエチュードとして練習しながら、ドビュッシーの「プレリュード集」より「亜麻色の髪の乙女」「パックの踊り」「霧」などを弾いています。

昔狂ったように練習していたショパンの「ポロネーズ集」より「1番」と「5番」、シューベルトの「即興曲集」より作品142-3、など、大人になってから再び習い始めてからは、主に技術の向上のため、クラシックを題材にしてピアノを弾くことが日課になりました。

気軽に弾けるポピュラーな曲もたくさん弾いてますがクラシックにはある種スポーツマンシップみたいなものを刺激される要素が多いのでハマります。

そんな中でも、上に挙げた、ショパンのエチュードとポロネーズ、ドビュッシーのプレリュード、シューベルトの即興曲、どれもが昔夢見ていた曲達ばかりで、練習にも熱が入ります。

もともと若いころに鉄を熱いうちに叩いていたのもあり、技術的にはなんとか上級レベル的な曲を選ぶことができましたが、大人になってから再開するのがどれだけ大変だったかを思うと、「継続は力なり」を改めて実感します。

ピアノと山登りには共通点がいろいろあることが分かりました。それは、昨日今日の付け刃では達成できないということと、持続力と根性が必要なことです。

ピアノも山登りも、頑張った先には、ある種の達成感が得られます。ピアノは時折達成感が得られないこともありますが、それでも、より標高の高い険しい山に挑戦するがごとくの気持ちで、クラシックでもより技術力と表現力が必要な、いわゆるレベルの高い曲を目指しています。

ショパンのエチュードはもうそれはそれは大変です。プロでも音大生でもなく、途中で中断していることもあるからなおさらです。けれども素敵な曲へのあこがれの気持ちは消えることがないので、山頂目指してがんばるのみです。

大げさに言って、そういう辛くて険しい芸の道をゆっくりでも歩んでいると、ちょっとした旅行でも、いわゆる「ツアー旅行」がおそろしくつまらないことにように思えてくるようになってしまいました。旅行も大好きでさんざんやってきましたが、たいがいは、個人で何もかも手配し計画する個人旅行がメインです。

たま~に、ツアー旅行や、ツアー登山に参加すると、どこか空しい気持ちに襲われてしまうのです。
これはあきらかに、あえて辛いことを好んでしまう病気にかかっているな、と途中で気づきました。

ピアノを弾くという生活は、楽しいことばかりじゃありません。

長く弾いていると楽しい割合が増えてきますが、どっちかというと、最初はとてもキツイ運動です。山登りにも同じことが言えます。自分の脳みそからの、快感を感じるようになるまでの麻薬が自然に抽出されるようになるまでには時間がかかりすぎるのです。そこを乗り切れるかどうかが問題です。

乗り越えてしまうと、普通なら辛いことはあえて避けるところを、あえて飛び込みたくなってしまいます。ピアノにしても、山登りにしても、普通の道じゃ面白くもなんともなくなってしまい、楽過ぎると逆につまらなくなってしまうのです。

ランナーズハイ中毒の人が、マラソンやジョギングをやめられないのにも似ています。

その昔、自分にはショパンのエチュードなんて無理、とばかりに、チョイスすることさえ避けていたのですが、再びピアノレッスンを受けるようになって、たまたまピアノの先生から勧められて「レッスンでやらなくたって、苦手な分野をどんどん弾いて~」と気楽に言われてから、目が覚めた気分でした。

そうです。山は無くなりません。いつでもそこにあるんです。自分が行くか行かないか、それだけなんです。ピアノ界のチョモランマに飛び込んでみると、ショパンのエチュードは意外に自分でも取り組めるものでした。

もちろんプロのようには弾けませんが、自分なりに形にしていけることを実感しています。

昔は、山頂なんて一生拝めないと思っていたのに。私には一生無理だと。

でも飛び込んでみるものですね。「・・・意外にイケる!」そう思い込んだら一直線にやるしかありません。アニメやゲームや映画の気軽な曲を弾いている時とは違って、ショパンのエチュードに代表されるようないわゆるクラシックの難しい曲は、かなりの度合いでスポーツマンシップを刺激されます。自分で自分の知らない一面を見た、という感じです。

そんなわけで、今日も弾くぞ~。これで”海外ドラマ”以外のブログネタを一通り書いたぞ~。明日は山に登るんだぞ~。山登り感想ブログ書くぞ~。

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