普段から家でアコースティクのグランドピアノを弾いている、とうことを前提に話をするのは酷な話です。あぐらをかきながら、または正座して、また普通に椅子に座って、普通のテーブルの上にキーボード置いて弾いている人もいれば、電子ピアノで弾いている人も多数います。
それでも変わらない基本とは。ズバリ「音楽理論」に尽きると断言します!
たとえば超古典的な基本音階「ドレミファソラシド」がソレです。また「起立、礼、着席」の時のハーモニーの流れなど。音楽理論はNETに大量の情報が無料で公開されているので、ぜひ検索して勉強してみて下さい。
しかし、ここで音楽理論そのものを語る予定はありません(^。^;
それでも語りたいピアノの基本とは=(イコール)=音楽の基本です。
ピアノ、と一口に言っても、それはピアノのようでピアノじゃなく、実は「音楽全般を扱う」捉え方のことをいうんじゃないか?と思います。
「音楽全般」を把握すること、それがピアノの基本なんじゃないか?と思うのです。
このことは、今まで、ピアノの先生と呼ばれる方たちからはあまり教えてもらったことがありませんでした。
ピアノといえば、ただ、ピアノを弾く、楽譜があって、音符があって、それを鍵盤に落とし込む、といった作業的な行為を教えてもらうことがほとんどではないでしょうか?
けれど、そこんとこを感性と独学だけで軽く追及してみると、ピアノは実はひとつの楽器じゃない、といった大原則を発見しました。
ピアノはひとりバンドをする楽器なのです。
逆にいえば、常にそう思って弾かない限り、それはただ、「楽譜」や「理論」を鍵盤に落とし込んでいるだけ、機械でも出来る行為になり下がってしまうと思うのです。
ピアノ弾きは、音楽の世界の中でも特に「便利屋」として扱われることが多いように思います。
鍵盤弾きとは、いわば縁の下の力持ち、スタジオミュージシャン、普段は表に出ることのない裏側で活躍するスタッフなのです。
音楽の世界で、表舞台に出る側の主役は歌手とかバイオリンとか、自分のメロディだけを奏でる人たちだと思うのです。
ピアノはメロディを奏でられる楽器だけど、伴奏もこなし、目立たない中間音域の裏メロデイも、同時に奏でることができます。
このピアノの基本=音楽の基本を常に全て把握している人がピアニストだと思うのです。
プロでもアマでも「いい演奏だな」と感じるのも、この「全てを把握している」感が表現できている人が多いです。
伴奏もメロディも同じように機械的に、ただ楽譜を鍵盤に1音1音落とし込んでいるような演奏は、機械の演奏と同じではないでしょうか?
だからこそ、音楽理論の徹底的な知識が必要なのです。
音楽とは何ですか?と考えてみて下さい。
太鼓を叩いてリズム刻んでいる人、低音専門で、音の厚みを重厚なものにしている人、バイオリンやソプラノ歌手のような高音部メロディで、音に華を添える主役たち。
いろいろな人たちが集まって音楽をつくっているのが普通だと思います。
ピアノを弾くこと=音楽を作っている全ての人たちの役割を一手に引き受けられる人、でなければなりません。
しかもそれを、10本の指と2本の足で・・・。
常にそう思って既成の曲を弾いてみて下さい。するとピアノ弾きとは、必然的に多重人格的な頭の構造が必要になってくると思います。
伴奏しながらメロディを弾いているだけでも大変な作業だと分かります。そのうえ中間で目立たないように、こっそり裏メロディを奏でないといけないのです。
全ての音域を、全て同じような音量で弾いてはいけません。曲を弾く時は、まずパートを分解することから始まるのです。
ピアノの楽譜は、オケやバンドのスコアなのです。バイオリンや歌の楽譜ではないのです。
常にそう思って弾いてみてください。
そうすると、ピアノはピアノのようで、ピアノじゃない、といった不思議な感覚が生まれると思います。
常に、一人でピアノで曲を弾いているときは、頭の中では、バンドやオケの音を鳴らしてみてください。
低音部はつねに、バリトン、テノール歌手、コントラバス、ベース、ファゴット、チューバ、時によってはバスドラムなどが鳴っていなければなりません。
高音域はソプラノ歌手、バイオリン、トランペットなどが鳴っているのです。
ピアノはピアノのようでピアノじゃない。それが音楽理論と同時にある、ピアノの大きな基本だと思います。
ですから、必然的に、ピアノには「弾き分け」が必要になってきます。
コントラバスを鳴らしながらバイオリンを鳴らし、時々フルートを吹かないといけないからです。
この場合、バイオリンが主役、フルートは準主役、コントラバスは常にみんなを支える人たち、と捉え、鍵盤を奏でる際には、常に音量の差、音色の差をつけないといけません。
現実的には音色は常にピアノの音色しかないのですが・・・そう「思う」だけでもだいぶ違って聞こえてきますので、試してみてください。そういうイメージをより濃厚に頭の中で再現するために、ピアノ以外のオケやアンサンブルなどのコンサートは積極的に行くことをお勧めいたします。
個人的に思うに「下手な演奏」とは「音楽全体を把握していない、”頭”のない、均一的で機械的な演奏」だと思っています。
そもそも「音楽」ってヤツを分かっていない演奏で、楽譜の情報を必死で鍵盤に落とし込んでいるだけの演奏です。
「上手だな」と思う演奏は、その逆で、音楽をわかっている演奏。”頭”が出来てる演奏だと思います。
たとえ楽譜に書いていない音符を弾いてしまっても、音楽理論が体に叩き込まれていて、全体的な音楽を把握していれば、音楽を壊さないのです。
こういった演奏には「間違え」というものがありません。途中で楽譜から離れてしまっても、音楽の自然な流れを最後まで貫く姿勢が大事だと思います。
ここで、人前で弾く際に「緊張」してしまって、楽譜が飛んでしまうとします。私も、普段は間違えないはずなのに、なぜか間違えてしまうことが多々あります。
けれど、たとえば曲全体が「Cメジャー」な曲だったとして、たとえ音符をまちがえたとしても、曲全体のCメジャーの流れさえ崩さなければ、音楽はそれで成り立っているのですから、その法則の中に収まっていれば、音楽に「間違い」はありません。そう思うと、少しは気が楽になってきませんか?
ですから、「ドレミファソラシド」といった音階や、「ドミソ」などの和音の知識は、徹底的に体と頭に叩き込んでおくのが最善なのです。
一音一音すべて他人によって、まるで六法全書のごとくきめられた絶対的な存在として「楽譜」を捉えるのではなく、音楽理論にのっとった「道しるべ」として捉えた方が、譜読みも、人前での演奏もとても楽になります。
結論。
<ピアノの基本とは>
●ピアノはピアノのようでピアノじゃない
→音楽全体を常に把握している人がピアニストである!
●多重人格になれ
→この世にある全ての楽器を同時に奏でる勢いで弾くべし!
●楽譜は六法全書じゃない
→音楽の自然法則にのっとった「道しるべ」に従って弾くべし!
●そのためには・・・
→常に楽譜を分解しパート分けするべし!
→常にパート別に弾く練習をするべし!
→パート別に弾き方も音量も変えるべし!
まだまだ言い足りないところはございますが、あおみどりの考えるピアノの基本って、だいだいこんなところです。以上、「ピアノの基本 導入編」でした。
<続く!?>
とても実感のこもったコメントありがとうございます!
返信削除「便利屋」とはまさにその通りで(-_-;また、ブラスバンド部にいた時、「ピアノなんて叩けば音がでる」となぜか見下して言っている人がいました。「ああ、言ってるな~」と聞き流していましたが・・・。
音を出すのはネコでもできるけれど、いざ演奏をこなすのはなぜかとっても大変、けれど音楽の世界では主役になることがほとんどなくて、縁の下の力持ち。骨折り損のくたびれ儲け的側面がありますね。(笑)
それと「モンスター楽器」!なんかとても心にズシンと来るネーミングですね。音域が広いこと以外に、ピアノって人の心にトラウマ的なものを残す楽器としてもNO1だと思います。(笑)
ピアノを習ったことがある人は十中八九口をそろえて「辛かった」「つまらなくなって辞めた」と言いますし。どうしてこんなに辛いの?ってくらいのトラウマ話をわんさか聞いてきました。
そこでちょっとまじめに考えちゃったわけです・・・ピアノの先生たちは、今、相当悩んでいらっしゃいます。辞める人が多すぎて。。。まさに、モンスター!?ビビられる楽器NO1ですね。
シリーズもうちょっと続けます。今日もまた書きました!