2010/03/03

ピアノの練習のコツとは

ピアノって何する楽器だろう?
まず最初に感覚的にざっくり箇条書きにしてみることにします。

<流行りグループ>

A.歌主体の伴奏で「ひとりバンド」としての弾き語りピアノ
B.自分で曲を作り自分で弾く「アーティスト」としてのピアノ
C.バンドの中で弾く「キーボード担当」としてのピアノ
D.コードやスケールなどの理論的な知識を使って弾く「即興ピアノ

<伝統グループ>

E.既成曲を暗譜(楽譜/曲を覚えて弾く)して舞台で弾く「コンサートピアノ
F.習いながら又は独学で、楽譜を見て弾く「レッスンピアノ

<道具グループ>

G.単に曲を作るための「鍵盤ツール」としてのピアノ
(番外) 置いて眺めて楽しむ「インテリアピアノ


ピアノと一口で言っても、今の時代はいろいろなアプローチの仕方があるので、絶対的なあり方などあるはずもないのですが、アマチュアでもプロでも、だいたいはA~Fの中のピアノをチョイスして楽しんでいるのではないでしょうか?

各グループ行ったり来たり、ミックス状態なのが普通かなと思います。番外なインテリア組(笑)の人も多いと思われます。

けれど、他の楽器に比べて、一般的なピアノ学習者が「ピアノを弾く人」としてのあり方としては、圧倒的に<伝統グループ>が多いような気がするのは気のせいでしょうか?きっと、その辺にいろいろな問題があるように思います。

本当のプロのピアニストと胸張って言えるとすれば、歌以外のすべてを満遍なくこなせる人をいうのでしょうが、ここでは、アマチュアとして、とりあえずB~Gの経験がある私がポイントを挙げてみたいと思います。

ピアノ仲間でよく言われていることで多いのが、

・途中で辞めてしまう人がすごく多い

ということです。私の周りでも、小さいころは、みんなピアノを弾いていましたが、大きくなるにつれてほとんどみんなが辞めていき、20歳くらいまでには、ほとんどの人が弾かなくなってしまいます。その原因で一番多いのが

・練習が苦痛

という理由です。次に、環境がない、ピアノがない、といった経済的、物理的な理由。

ピアノの先生をやっている友人が数人いるので、この手の話を普通によく耳にしていました。今習いに行っている先生とも、よくそういう話をします。(私も大人になったなぁ)

私も生徒なのですが(^。^;ある意味、「小さい頃から組」で、世の中では数少ない「生き残り組」(笑)だったせいもあり、周りの大人の生徒さんからよく相談されるのです。

((((^。^;<なぜ私に~?>と思いますが、先生より、よりご自分たちに身近な存在だからでしょうか!?

最近相談されたのが「練習のコツを教えて」というもの。

専門機関で勉強したのではなく、個人の先生について習う、いわゆる「師匠と弟子」の間柄のような場で弾いてきたことが長かったので、付いてきた先生の数があんまり多くありません。

けれど、ピアノサークルに入って、アマチュアでもプロでも、いろんなジャンルの場で弾いている、いわゆるピアノ弾きな方々と接することが多かったので、いろいろな情報を耳にしてきました。

自分自身の紆余曲折を経た結果論としてのアドバイスと、人から聞いた話、あとは独学で学んだ話を総合して、いろいろ考えてしまいました。

(※結果だけを読みたい人は最後にまとめてありますので末尾をご覧ください)

さて?コツってなんでしょう?「上達するのに効果的な方法」ということでしょうか?

私自身、本当にすごい達人やプロに比べたら月とスッポンなのですが、アマチュアピアニストとして偉そうに考えてみました。

最初は「長年弾いていたら弾けるようになっていた」としか言えませんでした。

語学と同じで、なるべく長期間、鉄が熱いうちに叩いておくことで、きっと誰でもある程度は弾けるようになるものなんだと思うのです。

それでも、なんとか具体的にコツについて考えてみました。

先ほど挙げた、ピアノ関係者の中でよくいわれること。

・ほとんどの人が途中で辞めてしまう
・練習が苦痛

この「苦痛」を伴った原因を如何に乗り越えるか、または、原因を取り除くか、に尽きると思われます。

最初は、単にピアノが弾きたくて習いに行くのだと思います。一方で、独学で学ぶツワモノな方もたくさんいらっしゃいます。

最近の先生の間では、いわゆる「ピアノの発表会」をやらない教室が増えているらしいです。原因は、やはり「苦痛」にあるようです。

先生曰く、プロでもないし、審査されるわけでもない。発展途上にあるのだから、自分の理想に届かず下手なのが当たり前。なのに、どうして現状の自分を受け入れられず、人前で弾くのがそんなに嫌なんだろう?と嘆いていました。

むしろ、人前で弾くために練習しているんじゃないのか?と思うそうです。

やはり、それはピアノ以外に関係している、その人そのものの性格によるところが大きいらしいです。必ずしもポジティブな人が向いているというわけではありませんが。

人によっては、心療内科に行った方がいいんじゃないかと思うくらい人前での演奏がダメらしいです。

また、最近の子供達は特に、親もひっくるめて人前で恥をかくのを極端に嫌っているらしいのです。

ピアノの先生達も、そういった親や子供のニーズに答えて、ただレッスンをするだけに切り替えているところが多いそうです。

私は、小さい頃から何度となく、ピアノ発表会、学校での合唱祭、無料のアマチュアコンサート、サークルや地域の催し物などで、数え切れないほど人前で演奏してきました。

失敗も数え切れないほどの経験をしています。既成の曲を間違えてしまう、というのは日常茶飯事です。自分でアレンジし、作った曲でも完璧に演奏したことがありません。そこは年季の入ったごまかし奏法でごまかしてしまうのです・・・・(笑)。

それでも、演奏を披露する場がなければ、今まで続けてこれなかったような気がします。単に家で部屋で弾いているだけではモチベーションが下がる一方です。

けれど、最近の家庭では、子供が人前で失敗するのを見たくないという親が急増中だそうです。

なぜ、失敗することを前提とするのか、現実把握より、理想だけが高くなってしまうのか。

最近のピアノの先生たちの悩みは、そういった時代の変化と、ジェネレーションギャップにあるようです。

もちろん、本番は誰だって緊張します。例え、聞いてくれるのが、ピアノの先生ひとりだったとしても、緊張してます。

けれど、「緊張」というのは、決して絶対的な悪ではないと思います。むしろ、当たり前のこととして受け入れていけばいいと思います。

よく考えてみると、最初に書いたピアノ弾きのグループ設定の中で、<伝統グループ>に属するタイプで弾く場合に、この緊張が多すぎて萎縮し、結果辛いことだらけのように感じて、嫌になって辞めてしまうのではないか?と思います。

既成の曲、特に、ヨーロッパで発展したクラシック音楽を弾く場合に、「楽譜に書いてあることは一つでも間違えちゃいけない」という重圧感が半端じゃありません。辛くなる原因のほとんどがコレじゃないか?と思えてきます。

ピアノ教室では、どうして<流行りグループ>の選択肢が無視されることが多いのでしょう?きっと、歴史が浅いからだと思われます。

クラシックは長い伝統があり、専門機関と専門家が多数いるため、教える方も教えやすいのだと思われます。

けれど、世の中の音楽の大半は、<流行りグループ>に属しています。

普段聞いている音楽と、いざ、ピアノを弾こうと思った時の音楽の、歴史の隔たりが拒絶感を助長させているような気がして仕方ありません。

けれど、ピアノじゃなくても、どんな芸事にも「基本」というものがあります。

その基本とは、おカタくいえば、「音楽理論」に尽きると、個人的には思っています。

易しく平たく言えば「ドレミファソラシド」や「ドミソ」の和音などのコードのことを指します。

これをまず最初に徹底的に体と頭に叩き込むことは、どんなジャンルにいこうにも避けられないと思います。

「国語」で言うところの「あいうえお」、「数学」で言うところの「足し算引き算掛け算割り算」みたいなものだからです。

もしこの時点でアウトであるなら、潔く辞めてください。(笑)

けれど、そこから先は、<流行りグループ><伝統グループ><道具グループ>どのジャンルに行っても構わないと思います。

最初の問題に立ち返ります。

練習のコツはなんですか?」

もしこう聞かれたら、まずは、「基本に立ち返ることかな?」と思います。音楽の法則を学ぶのです。

学校の勉強でいえば、一問一答式に100問解くよりも、大原則を10個学んで、そこから100の問題を予想して解いていく感じです。

「エリーゼのためにが弾けるようになりたい」の先には、「あこがれのショパン」になり、「JAZZに転向したい」「弾き語りがしたい」と、欲望が尽きることがないからです。

基本が入ってれば、どっちにでも転んでいけます。

第2のコツは「具体的に自分は何が好きなのか」をちゃんと自覚することかな?と思います。

たとえばクラシックなら「古典的なものより、20世紀以降の現代曲が自分に合ってる」と思うなら、迷わず、基本の習得以外は、好きなものにガンガン向かって行ってください。

ベートーヴェンが好きなら、ベートーヴェンの曲を弾いていればいいし、ミスチルやゆずなどが大好きなら、ギターのごとくにピアノを弾いて弾き語りしていればいいのです。

(本当の本当のところは違うけれど、結果論としてのザックリとした話です)

しかし、ほとんどの人は、「基本」と「自己認識」があいまいなように見受けられます。

「ドレミファソラシド」や「ドミソ」にはどれだけのバリエーションがあるのか、それを知らずに、あいまいなまま、既成の曲に取り掛かっていて、まるで一問一答式問題を1000問解いているような、気の遠くなる作業をしているのです。

一音一音しらみつぶしにアタックしているのです。

それが10問だけなら、やっつけ仕事でもやっつけられるかもしれませんが、他の曲に取り組むと、また最初からやっつけ仕事にとりかかることになり、いつまでたっても基本が分からず、五里霧中のまま延々とさ迷っているように見えるのです。

練習が苦痛だ、と思ったら、基本(コードとスケール)に立ち返って見て下さい。今まで霧だらけだった世界から、フッと景色が見えてくるような気分になると思います。

基本はめんどくさい、絶対嫌だという方には、はっきりいって、そもそも”芸事”に向いていないように思います。

練習曲はやらなくても、基本だけは絶対やっておいたほうがいいんです。練習曲は基本ではありません。

基本+好きなジャンルの曲をどんどん弾いていく。

これだけでも相当レベルアップすると思います。私自身は、個人的にすごく上達していた時期が中学生の時でしたが、ずっとそれで続けていました。またそういうわがままを先生が許して下さっていたのです。(ありがとう先生)

プロのピアニストになりたい、というなら話は変わってくるかもしれません。私はアマなので語り様もありません。

けれど、ほとんどの人は、単純にピアノにあこがれてて、自分の好きな曲を弾いたり、好きな歌を弾き語りしたり、ちょっとした歌なんて作曲できるようになりたいな、と思っていると思うんです。誰もが音楽大学に入りたくて弾いている訳じゃないんです。

それなのに、まるで音大を目指すかの如くの、過酷でつまらない練習メニューを展開する先生がチラホラいます。

私は小学生の時、そういうやり方に反発を覚え、9歳の時に一度挫折しました。9歳で、ですよ?(笑)そんな小さなお子様たちが、今日も明日も、あんなこんなのつまらない曲や、練習曲なんて弾いているんです・・・。尊敬します。

ですから当然、私などは、苦手なジャンルの、苦手な作曲家の方も出てしまいます。ベートーヴェンはいまだに大の苦手です。手が動きません。

けれど、思うんです。


全て出来る必要はない!!!


そう割り切ってしまうことにしたのです。得意ジャンルがあればいいじゃないか!と思うんです。

好きなジャンルが出来れば、自ずと道は広がって、転向するなりなんなりしていけばいいだけのこと。

それにしても、日本のピアノ教室って、意外に「基本」をちゃんと教えてくれないんです。けっこう適当なんです。不思議。

私自身、この「基本」の徹底的な叩き込みと運動的な意味での訓練は、かなり大きくなってから始めました。

実は一番おいしいところを隠し、どうでもいいような練習曲は熱心に教える。
クラシックばかりやらせる。

好きでもない、つまらな過ぎる練習曲なんて弾けるようになっても、音大に行かない人にとっては何の意味もないというのに、困ったものです。

芸事は最初に「基本」をしっかり叩きこむべきなんです。

足し算引き算をしっかりやらずして、いきなり複雑な方程式を解くなんて訳が分からず苦痛でしかないのです。当然、時間が経つにつれ苦痛ばかりが増すので辞めたくもなります。

天下のショパン様も実はそのようにおっしゃっていたようです。まずは基本だ、と。

繰り返しますが、練習曲は「基本」ではありません。

ピアノ教育界の古い体質が練習嫌いな人を増やしているように思います。小さい頃、練習曲よりも基本を教えて欲しかったと思います。

次回があれば、「基本とはなんだ?」そして「具体的な自己流練習メニュー」などについて語りたいと思います。

最後に、今付いている私のピアノの先生曰く「”練習”っていつまで続くの?」

この際「練習」という言葉を頭から排除した方がいいのかもしれません。
(^。^;<最大のコツかも!?



アマチュアピアニストのあおみどりが考えた練習のコツとは・・・



<今回のまとめ>

基本をしっかり叩きこむ
→基本とは音楽の自然の法則のことであって練習曲のことではない

自分は何が好きなのか認識し好きなものを弾く
→「キライ」を排除しモチベーションUP

そもそも「練習」と思わない
→単に「弾いている」その時間を有意義な時間と捉えて楽しむ

<次回!?に続く>

2 件のコメント:

  1. 素晴らしいお話をありがとうございます。感動しました!!早く基本について教えてください(笑)

    実は暗譜でしか弾けない私はこの苦手を克服するために譜読みをしながら弾く練習をし始めた変なパターンの人でございます(笑)

    ハノンの1番から指の練習を始めようかと真剣に思っているところなのであります。私はギターを弾いていましたのでコードとスケールのお話はなるほどと思いました。

    人前で緊張すると言うのは幼い頃に人前で弾く経験がない人達(自分もそうです)にとっては深刻な問題でして、これも克服するためにどうやって自信をつけるのか今の課題であります。何かいい方法があればぜひ教えてください^^

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  2. あおみどり3/03/2010

    >ピアノトオトさん
    おっと!!びっくりいたしました。たた今更新したんですよ(笑)少しづつ書きすすめて、やっと仕上がりました。。。プロの世界をご存知の方に感動していただけて光栄です。

    譜読み、これもヒトモンチャクありな話題ですね。緊張の話も含めて、今までのいろんな経験から、自分のためにもまとめていきたいと思ってます。

    世の中には、ピアノ弾きたい、という隠れファンがけっこういるんですね。習い始める人も多いです。でも、途中でやめる人もかなり多いので、迷っている人が、もし偶然にもこれを読んで、眠っている力を発揮してくれたらなぁと思いながら書きたいと思います!

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