「ピアノの音を本当に聴いているか?」 ・・・です。
ピアノといえば、兎に角、指を動かすことばかりに気を取られてしまいます。
高校時代にトランペットを吹いていた時は、兎に角「音をなるべく長く伸ばすこと=ロングトーン」をしろ、と先輩方に教わっていました。
とにかく息がなくなるまでロングトーンです。苦しかったです・・・。
また一昔前は、リコーダーと打楽器を習っていました。これは、当時参加していたピアノサークル内で頻繁にアンサンブルをしていたころで、リコーダーアンサンブルや、打楽器含めた鍵盤ハーモニカユニット組んで、いろんなところで人前で演奏していたりしていた頃の話です。
それが楽しくて、全く個人的な趣味で習い始めたのですが、やはり基本は、音を伸ばすこと。(打楽器の場合は音を綺麗に”飛ばす”!?こと)
音そのものを作ることから始まります。
打楽器は、最初はスネアドラムから始めました。その間、リトミックなどを含めたリズム訓練的なもの、タンバリン、トライアングルなどの小物打楽器、最終的にはマリンバに移行して、教わっていました。(今は習っておりません)
マリンバは打楽器ですが、同時に鍵盤楽器でもあります。
それでも基本は、音を如何に良く鳴らすか?です。どこを叩けばいい音が鳴るか?手や腕の使い方なども含めて、まずは、良い音そのものを鳴らすことに集中するのです。すると、自然と、ベストポジション、というものにたどり着くし、そこで鳴らすことから入ることになります。
ピアノはどうでしょう?まず楽譜があって、とにかく指を動かすことからはいります。姿勢や手の形なども含めて。
けれど、音そのものをじっくり聴く、というレッスンはあまり聞いたことがありません。私も大人になってからレッスン再開して習い直して初めて知りました。
いま付いている先生曰く、ピアノにも「よい音を出すポジション」がある、ということです。
私は体は166cmもあって大きいですが、指が短めで、ピアノ弾きにしては手が小さいので、ピアノ曲の難易度が上がると、手の大きい人に比べて、いろいろなハンデがつきものです。
手が大きかった人の作った曲は、少なからずハンデが生じます。
けれど、ピアノの先生の師匠(欧州在住)も手が小さかったらしく、手が小さい人用のテクニックなども教えていただいております。
それでも、ピアノだって、ベストポジションで弾いて良い音を出すことが一番とのことで、日々苦戦しているわけです。
「指は、広がる!」
そう信じて、指を広げるエチュードを辛抱強く弾いております。(ショパンのエチュードでは「蝶々」と言われているのが代表的なソレです)
指が広がると、常にベストポジションで音が鳴らせるようになるからです。
先生曰く、広がれ!広がれ!と念じながら、辛くてもベストポジションで弾くことが大事とのこと。
ピアノでいい音を出すために苦労する始まりは、なんといってもコレでした。
指を広げて、ベストポジションで鍵盤を押すこと!
黒鍵も白鍵も、丁度真ん中くらいの位置が良いのです。また、黒鍵から白鍵へ移る時は、なるべく指を動かす距離を短くすることです。
手や指が、いちいち大げさに、大きな距離で動いてしまうと、速く弾くのが難しくなるし、ベストポジションでなくなると音が弱くなります。
黒鍵の場合、下の方で連打すると軽い感じに聞こえるため、曲によってはわざと下の方のポジションで、と言われることもありました。
そんなわけで、ピアノだって、いい音を出すために苦労しなければならないのです。
ピアノの音を「本当に」聴いて弾いているか否か?ちょっと自分で自分を客観的に眺めて弾いてみることをお勧めいたします。
そしてこの話は、ペダルの話にもつながっていきます。
いま付いている先生の師匠は、ペダルの鬼、と言われるほど、ペダルの使い方にうるさかったそうです。
ピアノのペダルについては、頻繁に使う反面、ペダルだけのレッスンをしてくれることがあんまりありません。
ですから、これも、私にとっては、大人になって再開してからまた1から苦労する課題になりました。
ペダルの使い方は本当に多種多様で、たった2ページしかないゆっくりとした曲でも、ペダルの使い方を事細かく指示してもらったせいで(?)汗だくになりながら弾いたこともありました。(ドビュッシーのプレリュード集より「亜麻色の髪の乙女」など・・・ゆっくり目の曲です)
今まで習ったペダルの使い方をなんとなく箇条書きにしてみます。
<メインのペダル>
・普通に踏んで、普通に離す
・半分踏んで、普通に離す
・普通に踏んで、半分離す
・普通に踏んで、ゆっくり離す(下弧を描くようなイメージで足を離す)
・少し踏んで、普通に離す
などなど。こちらは、右側にある、普通のペダルの話だけになります。
これに加えて、左側にあるペダルにも指示が入ります。ソフトペダルとか、ウナコルダと言われている、音色を弱くソフトにするペダルです。
また、曲の中でも、「どういう時にペダルを使うのか」という話も出てきます。楽譜に書いてなくてもペダルを使うのです。
「メロディが下降系の時は、音が濁り易いからペダルを細かく踏み変える」
・・・とかそういう法則です。「メロディが上昇系の時は、下降系の時よりも踏み変える数が少なくても大丈夫」だそうです。そういう基本的な知識も含みつつの話です。
ですから、ペダルを多用する近現代のクラシック曲などを弾く時は、ほんとうに、最初はノイローゼになるかと思うくらい、ペダルの使い方で混乱して、曲がなかなか仕上がらなかったりします。
手を使うだけでも大変なのに、足も相当大変なのです・・・!
それもこれも、「ピアノの音を本当に聴いているか?」につながってくることなので、大事なことは分かりますが、足にも気を使うのは、本当に大変です!
グランドピアノは3つもペダルがあるのです。そのうち、私の場合は2つのペダル(一番右のペダルと、左のペダル)だけでも、精一杯。これに真ん中のペダルも加わると、本当に脳トレのごとく、大変な作業になってきます。(今のところは真ん中を使わないで済むテクニックを教わっております・・・)
さらに、ピアノ曲には、「トリル」や「トレモロ」といった、ペダルに似た、音を大きく響かせるテクニックが出てきますが、これとペダルとの関連の中で、さらにペダルやトリルの使い方自体も、イレギュラーな使い方に変化するのです・・・。(ゆっくりトリル、とか速くトリル、とか、トリル自体も楽譜に書いてない指示で弾き方が変化します!)
レギュラーに、イレギュラーに、そして、ピアノ毎にもペダルの使い方は変わります。
「前回は、あのピアノだったから、ここでペダルをこう使ったけど、今日のこのピアノでは響き過ぎちゃうから、ここはペダルは使わないか、少しだけ踏むようにした方がいい」
とか、そんな感じで、日々変化するピアノと、弾いている場所に対応するのです!
ペダルに慣れない頃は、これにも苦労しました。
兎に角、いわゆる日本人なら誰もが体験するといわれている「留学ショック」みたいなショックの連続です。日本の先生は、そんなこと全然教えてくれなかった・・・といわれるようなことばっかりなんです。
でも、それもこれも、ひとえに「ピアノの音を本当に聴いているか?」ということを言われているような事ばかり。
音を本当に聴いているのなら、ペダルを気にすることは当たり前のこと。ピアノに寄っても音が違うし、会場に寄っても音が違って響くから、それに対応して技術を変えるのは当たり前のこと。というわけですね。
ピアノを弾かれる皆さん。指ばかり動かしていないで、音をちゃんと聴いてみましょう!
音が濁っていませんか?大きすぎませんか?小さくても音が消えていてはいけません。鍵盤は、ベストポジションで弾いていますか?10本の指のそれぞれの特色を利用して、指使いを考えて弾いていますか?
あ、そうです、忘れていましたが、「指使い」・・・これもとても大事なピアノならではの話になります。
音そのもの、ペダル、指使い、といった、ピアノ弾きにとってはつい無意識に、適当になりがちな世界に、ちょっとでも頭をつっ込んでみてください。
今までとは違った世界が見えてきます!
・ピアノの音をちゃんと聴くこと。(客観的に聴く姿勢を持つこと)
・ペダルの使い方は多種多様であること。(音そのものに強く影響しています)
・指使いは初めからちゃんと決めること。(途中からだと直りにくいため)
いつも慣れ親しんで弾いている曲たちも、これらのことを気にすることで、ドッと汗だくになること、請け合いです!さぁ今日も、練習、練習~。
ドキッとするお話ばかりです,,,最近練習熱がはやくも冷めてきておりまして、お恥ずかしい限りです。ペダルだけ意識すると言うような拷問の様な離れ業は到底出来ません(笑)
返信削除本当、ピアノによって全くペダルのきき方も違いますね(じつは調整不足も多いのですが)そこのところだけでも、音をちゃんと聴いているかどうか判断出来る気がします。
ピアノのことはまったく知らないけど、それでもマルチな才能を発揮していて尊敬に値します。
返信削除ますますのご活躍と面白いブログ記事を今後も期待してま~す。
>ピアノトオトさん
返信削除私自身、自分に言い聞かせるために、具体的にはっきりと文章にしているところがあるので、全然文章の通りに100%実現しているわけじゃないんですが(!)ペダルのレッスンはほんとうに最初は辛かったですね~。慣れないと大変です。
いまついている先生からは、いろいろと留学ショックの話を聴いていて、私も細々とその息吹を感じながらレッスン受けております。
ピアノは本来は音を作らないといけない楽器ですが、電子ピアノはサンプリングされてしまっている音しかでないから、デジピだけ独学で弾いている方に比べると、畑違いな苦労みたいな話ですね。デジpとグランドpは別物楽器ととらえて、家ではデジピをグランドpの代用として、想像力で補って弾いたりしております。
>MaJamさん
いえいえ。マルチなんてことは全然ないです!!ピアノにしても、最初はとても下手っぴで、本気で取り組んだのは20歳過ぎてからでスロースターターですし、好きで弾いているだけで、自分自身、いっつも「こうありたいな」と念じながら文書書いております次第です。
ついついえらそうに文章をかいてしまっておりますが、100%言っていることを実現させていけるかというと、それはNOなのです・・・