弟子から見たショパン―そのピアノ教育法と演奏美学
http://www.amazon.co.jp/dp/4276131456
「ピアノを習うために、今まで試みられてきた夥しい数の無益で退屈な訓練は、この楽器の練習には何の役にも立たぬものである。言ってみれば散歩するために、逆立ちして歩くのを習うようなものだ。おかげで普通の歩き方まで覚束なくなり、逆立ちしてもやはりうまく歩けなくなってしまう。…それは実質を欠いた難しさであり、新種のアクロバットなのである。」
この本はかなり高いので、図書館で借りてきました。まるで、弟子たちが各々に見聞きしたことをかき集めた「聖書?」のような内容でした。ショパンがある意味キリスト風でもある、この一冊。ショパンの弟子たちよ、ありがとう。
ショパンという人の音楽は、音楽の世界全体から捉えると、さほどの高評価を得られていなかったりしますが、ピアノに関しては話は別!彼は想像を絶するほどの究極の「部屋の音楽」の人、はっきりいって、ずば抜けたピアノマニアであり、ピアノ音楽作曲家&演奏家である!
オンリーワンにもほどがある!・・・好きなんだよねぇ。マニアックな人。
ショパンが好き、っというより、ピアノが好きすぎる情熱そのものや、ピアノという楽器について、あまりに細微にわたって知りすぎている所、独特な楽譜の書き方や、指使いの開発法に惹かれています。まさに、人様の情熱に心動かされて、自分も好きになっているパターンです。
しかし、優れた作曲家、演奏家でもあった一方、教育にも熱心だったことはあまり知られていないのだとか。この本は、先生としてのショパンがどのような注意書きを楽譜にしていたか、などが寄せ集められた断片的な資料などを元に作られております。
究極のピアノマニアが語る、その真実・・・。断片的ではあっても、それは是非是非知りたいというものです!
楽譜に正式には書き込まれていない注意書きというものに、とても興味があるわたくし。
それは指使いも同様です。先生が学生時代に使っていた楽譜とか、レッスンの音声も(全部外国語ですが)持ってます。人のレッスンって、とてもとても気になるところであります!
自分自身も、レッスンで書き込まれた楽譜を公開したいという気持ちも強く、先日は少しだけ「指使いムービー」と称して公開してしまいました。
このムービーではまだまだ全然語りつくせていないのですが、今後は「レッスン中に書き込まれた楽譜」「正式に楽譜には載っていない指使い」というものに焦点を当てて、少しでもより良いピアノ弾きになるべく、書いている方も読んでいる方も共に向上出来たらと思います。
アコースティックピアノで、しかもグランドピアノでピアノを弾く、ということは、限りなく、歌うように弾くということ1点に尽きるのだなぁと思いました。
綺麗にツブを揃えて弾く、というより「美しい音を上手にニュアンスをつけて弾く」ことが大事だと教えてくれます。これが出来るかできないかが、ピアニストと、ピアノの鍵盤をただ叩く者との違いなのでしょうか?
ショパンの作ったエチュードの、数々のドSっぷりの裏では、数々の隠れた優しさがあるのだということも再認識するのであります(ホントか!?)。
鍵盤を叩くだけなら猿でもできる、といわんばかりのこの一冊。専門的な内容も多いので、全然一般的ではないかもしれませんが、究極のピアノマニアな音楽家の傍で、直接レッスンを受けていた人たちの生々しいレッスンの断片の数々を、あなたも是非読んでみては如何でしょう?
この本の内容を全て紹介することはしませんが、自分自身の「楽譜メモネタ」や「公式に書かれていない指使いネタ」と併せて、ぼちぼちネタにしていきたいと思います。
この本を読むことは、ショパンの弟子になったようなもの!そんな気分で今後ゆっくり読み砕いていきたいと思います。
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